家づくり番外編 〜残コンの不適切な処理が原因で基礎が全撤去になった話〜

2018年9月9日

ここまで打設が進んだ基礎が…

すべて撤去されました…。

みなさん安心してますか?私はまったくしていません、ケースケです。

まさかこのようなことが自分の身に降りかかるとは、想像だにしていませんでした。基礎の全撤去。そしてイチからのやり直し。どうしてそんなことになったのか?

理由は基礎の打設不良です。
不良により、十分な強度が確保できないと判断されたため全撤去が決定されたのです。是正ではなく全撤去という事実が、ことの重大さや複雑さを物語っています。

どんな不良か?

私の家は、高さの違いから基礎の底板を2回に分けて打設する予定になっていました。1回目が終わったあと現場を見に行くと、次回打設するはずの場所に生コンクリートが注入されていたのです。しかもかなり適当に。

「なんだこれは…?」

私のような素人でも、この異様さにはすぐに気がつきました。生コンを注入されたのはハンチと呼ばれる基礎の強度を高めるための大切な場所です。本来は配筋が隠れる所定の高さまで一度に、そして丁寧にコンクリートを流し込まなければならないはず。それなのに、ポンプ車から排出されたコンクリートは均されもせず、しかも配筋にはそれがこびり付いたまま放置されています。この有様で十分な強度が確保できるとは到底思えませんでした。

その時はなぜこのような施工がされたのか理解できませんでした。しかし、いろいろ調べていくと、1回目に余った生コンクリートを捨てていった可能性が高いことが判明したのです。

ハウスメーカーもこの事態に気が付き、神妙な声色で連絡をよこしました。そして協議の結果、全撤去が決定されたのです。

生コンを捨てていった理由

業者はなぜこのようなことをしたのでしょうか?その理由を探っていくと、コンクリート業界に潜む闇が見え隠れしてきました。

コンクリートは工場で配合された後、直ちに現場へ運ばれます。次第に固まっていきますので時間との勝負です。現場に運んだはいいけど少し足りなかったということは許されませんので、多くの場合余分な量が発注されて現場に運び込まれます。

使い切らず余ってしまった生コンは「残コン」と呼ばれます。コンクリート業界は、長年この残コンの処理に頭を悩ませてきました。生コンクリートは産業廃棄物なので、廃棄には多額の費用が発生します。そのため、建設関係の業者間で残コン処理の押し付け合いが常態化しているのです。多くの場合、立場の弱い生コン工場や圧送業者が割りを食います。

でも、今回は話が違います。黙って私に押し付けたのです。これはもう残コン処理の問題ではなく、人為的に引き起こされた欠陥といって間違いありません。残コンを引き受けたくない誰かがそういう決定を下したのです。

私の現場は格好の捨て場だったのでしょう。バレなければ、2回目の打設時に埋もれてしまうのですから。しかし、私は気付いてしまった。捨てられたのは、家を支える地中梁を設けるための大切な場所です。どんな理由があっても許すことはできませんでした。

何も知らぬは施主ばかり

業界関係者はきっとこう言うでしょう「知らぬが仏」と。残コン処理の問題はハウスメーカーだって知っています。いえ、彼らこそ真の当事者です。残コンの所有権は元請けにあるのですから。でも、施主に対してそんなことはおくびにも出しません。知られては厄介なのです。

もし施主達みんなが揃いも揃って私のように「残コン、残コン」と言いだしたら、建設業界はちょっとした混乱を来すのではないでしょうか?しかし、もしそうなったとしてもそれは臭いものに蓋をし続けてきたツケです。

これは業界内部だけの問題ではありません。何も知らない施主は、気付かぬまま残コンを押し付けられ、それは基礎の奥深くに埋もれていくのです。適切に施行されていれば問題ないのかもしれません。でも、もしそうでなかったら…?私は不適切な処理が原因で基礎を全撤去したのです。施主も残コンの問題を知っておかなければなりません。

この記事を書いた理由

これから家を建てようとしている方達に残コン処理の問題を伝えようと思った理由は①丈夫な家に住んで欲しい②残コンに頭を悩ませる人達の存在に気づいて欲しいからです。

①は語るまでもないことですが、気をつけたいのは、残コンと欠陥住宅を直接結びつけてはいけないということです。問題はそれを扱う人間であり、その解決を先送りにしてきた業界の構造・慣習です。

ただ、残コンが出てしまうそもそものきっかけはなんでしょうか?私たちが家を建てようとしたからです。その過程で発生している残コン処理の問題に、施主が無関心ではいけません。私たちが家の完成をドキドキワクワクしながら待っているその裏で、苦悩している人達がいるのです。

ハンチに残コンを棄てられるという憂き目にあった時は、その愚行に激怒し施工業者を恨みました。しかし、その裏に残コン処理の問題が隠されていると知った時、私の中に同情の気持ちも生まれたのです。私にはこの問題を解決することはできませんが、施主の皆さんに知ってもらうように発信することは出来ます。それが、こんな経験をした私の役目だと勝手に思っています。

最後に

ここまで偉そうに書いてまいりましたが、私は業界内部の人間ではありませんので、記事内には誤解や思い込みが含まれている可能性があります。悪しからず、ご了承ください。

また、当記事を書くにあたり大変参考にさせていただいたサイトをご紹介します。

生コンポータル 生コンでいいこと http://www.nr-mix.co.jp/

ブログを主に執筆されているのは、生コン業界の現状を変えようと日々戦っていらっしゃる宮本充也さんという方です。誠にありがとうございました。